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大阪地方裁判所 昭和55年(ワ)3571号 判決

一1 請求原因1の事実(原告らが本件仮保護の権利の権利者であること)、同2の事実(本件発明の構成要件を分説すると原告ら主張の<1>・<2>・<3>・<4>・<5>となること)、同3の事実(本件発明の課題、目的、作用効果)のうち本件公報に原告ら主張のとおりの記載のあること、同6の事実(イ号物件の使用方法)は、当事者間に争いがない。

2 そして、被告らが、昭和五四年七月ころまでイ号物件を業として請求原因4記載のとおり製造・販売・展示・使用等していたこと(但し、イ号物件の特定・表示につき争いのある後記の点を除く。)も当事者間に争いがないが、被告らにおいてイ号物件の特定・表示につき事実摘示のとおり争うので、まずこの点を検討する。なお、弁論の全趣旨に照らし、別紙イ号物件目録に添付の図面が被告らの製造等していた物件を示すものであることにつき争いがないものと認められ、かつ同物件の特定・表示につき被告らが争う内容からみて、被告らは、イ号物件の同一性を争つているわけではなく、イ号物件の構造につき、その表現の変更若しくは説明の付加を求めているものと解される。

イ号物件の特定・表示は、侵害品とされる物件を、その同一性を認識し、かつ他の物件から識別しうるようになされる必要があり、その記述の程度は、特許発明の特許請求の範囲の記載(これを分説した構成要件)を基準として、イ号物件が特許発明の技術的範囲に属するか否かを判断しうる程度に表示することを要し、かつそれで十分である。

本件についてこれをみるに、請求原因に対する答弁4(以下「答弁4」という)(一)・(二)の事項は、本件発明の構成要件<1>にかかわるものであるが、答弁4(一)のような詳細な記述は、技術的範囲に属するか否かの判断に必要でなく、ただ、被告らの主張2(一)の主張に鑑み、別紙イ号物件目録二・<1>´の「調節板(50)には上下に多段的に取付穴(52)が設けられている。」との部分の「上下」と「に」との間に、「及び水平方向」を付加するのが相当である。答弁4(二)は、機能・作用効果の説明であつてイ号物件の特定に必要でない。

答弁4(三)前段は、別紙イ号物件目録二・<2>´の他の記載に照らし、不必要な重複的記述であり、後段をもあわせ全体として、技術的範囲に属するか否かの判断に必要のない機能・作用効果の説明である。

答弁4(四)は、構成要件<3>´にかかわるものであるが、全体として、別紙イ号物件目録二・<3>´の記載に照らし、その表現を変えたものにすぎず、重複的記述である。しかしながら、インナードラム(31)の下半分がアウタードラム(20)の下方に突出していること、インナードラム(31)の全体がアウタードラム(20)内に組込まれていないのでイ号物件が構成要件<3>を充足しない、との被告らの主張に鑑み、別紙イ号物件目録二・<3>の「アウタードラム(20)は、両フランジ(33)・(34)間にそれぞれボール(35)を介在して嵌められている。」に続けて、「そして、インナードラム(31)は、フランジ(34)が設けられた位置から上(上半分)がアウタードラム(20)内にあり、同位置から下(下半分)がアウタードラム(20)の下方に突出している。」を付加するのが相当である(同目録二、<4>´・(ハ)´に同旨の記述がある)。そして、右形状・構造をもつて、「アウタードラム(20)内にインナードラム(31)が組込まれている」といいうるか否かは、正に構成要件<3>の「環状支持体内に………回動部材を組込む」の解釈にかかり、技術的範囲に属するか否かの判断・評価に直結するものであるから、右記述をイ号物件の特定・表示の範ちゆうに持込むのは妥当でなく、イ号物件目録二・<3>´冒頭の「アウタードラム(20)内にインナードラム(31)が組込まれている。」の部分は、削除するのが相当である。

そして、答弁4(五)に鑑み、イ号物件目録二・<4>・(イ)´の末尾に、「案内筒(37)は、上方への突出部分及び下方に僅かに突出した部分を除き、そのほぼ大部分がインナードラム(31)内に存在し、フランジによつてインナードラム(31)に一体化している。」を付加するのが相当である。

答弁3(六)については、その主張のような詳細な記述は、前説示に照らし不要であると解する。

以上認定・説示したところに従い、イ号物件を特定・表示すると別紙被告物件目録記載のとおりとなる。いうまでもなく、同目録によつて特定された製品は、原告主張のイ号物件目録によつて特定されたイ号物件を指示するものである。したがつて、以下の説示においても、別紙被告物件目録記載の物件を便宜「イ号物件」と略称することとし、これによることに支障のある場合には、両者を識別しうる表現によるものとする。

3 次に、当裁判所が認定した別紙被告物件目録の記載に従い、イ号物件の構成を分説すると、次のとおりとなる。

<1>´ リーダ(10)の前面にオーガモータ(11)が装着され、モータ(11)は、吊りワイヤー(12)によつて昇降自在に支持されており、モータ(11)の出力軸にアンテナジヨイント(13)を介してアースオーガ(14)が連結されている。リーダ(10)の中程両側には反力支持アーム(15)が固定され、そのアーム(15)にそれぞれシリンダ(16)がピン(17)によつて取付けられている。また、アーム(15)は、リーダ(10)に固定した高さ調節板(50)にボルト(51)によつて取付けられ、調節板(50)には上下水平方向に多段的に取付穴(52)が設けられている。

<2>´ 請求原因5<2>´記載のとおり。

<3>´ インナードラム(31)は、中央をアースオーガ(14)が貫通し、その上端外周にボルト(32)によつてフランジ(33)が一体に取付けられ、このフランジ(33)がアウタードラム(20)上に載り、平面的な回動が自由であるように支持されている。インナードラム(31)のフランジ(33)の下方にはもう一つのフランジ(34)が設けられ、アウタードラム(20)は、両フランジ(33)・(34)間にそれぞれボール(35)を介在して嵌められている。そして、インナードラム(31)は、フランジ(34)が設けられた位置から上(上半分)がアウタードラム(20)内にあり、同位置から下(下半分)がアウタードラム(20)の下方に突出している。

<4>´(イ)´ インナードラム(31)の中央には、アースオーガ(14)に外嵌し上方に多少突出状態になつた案内筒(37)が設けられている。案内筒(37)は、上方への突出部分及び下方に僅かに突出した部分を除き、そのほぼ大部分がインナードラム(31)内に存在し、フランジ(33)によつてインナードラム(31)に一体化している。

<4>´(ロ)´ 請求原因5<4>´(ロ)´記載のとおり。

<4>´(ハ)´ 請求原因5<4>´(ハ)´記載のとおり。

<5>´ 請求原因<5>´記載のとおり。

4 被告らは、本件発明が冒認出願にかかるものであり、また進歩性がないものであるから、拒絶査定されるべきものである旨主張する。しかし、拒絶査定すべきか否かの判断は特許庁の専権に属し、したがつて、本件発明の出願が拒絶査定されこれが確定したものでない以上、本件仮保護の権利を有効なものとして取扱うべきことは論をまたない。被告ら主張の事実を認めるに足りる証拠もなく、被告らの右主張は採用しえない。

二 そこで、イ号物件が本件発明の技術的範囲に属するか否かについて判断する。

1 まず、前認定・説示したイ号物件の構造・使用方法によれば、イ号物件の構成<1>´のシリンダ(16)は、本件発明の構成要件<1>のジヤツキに該当するもので、アースオーガ(14)を連結したリーダ(10)に、反力支持アーム(15)を介して、取付けられており、その取付けの態様をみるに、反力支持アーム(15)は、リーダ(10)に固定された高さ調節板(50)にボルト(51)によつて取付けられ、高さ調節板(50)には上下及び水平方向に多段的に取付穴(52)が設けられているから、シリンダ(16)は、反力支持アーム(15)を介して、リーダ(10)に上下自在に取付けることができるものと認められる。

右事実を前提にイ号物件の構成<1>´を本件発明の構成要件<1>に対比すると、構成<1>´は構成要件<1>を充足する。

もつとも、被告らの指摘するように、高さ調節板(50)には水平方向にも取付穴(52)があるから、シリンダ(16)は、上下方向のみならず、前後方向にも移動可能であるが、その移動はそれぞれ独立して行われるから、上下方向に移動可能であることによつて構成要件<1>を充足するというべきである。そして、構成要件<1>の「ジヤツキを上下自在となるように装設」したことの技術的意味について、本件発明の明細書中に特段の説明がないことは成立に争いのない甲第一号証(本件公報)により明らかであるが、甲第一号証により認められる本件発明にかかる装置の構造、及び当事者双方の主張に照らすと、右構成は、矢板圧入作動前の準備段階において、ジヤツキをリーダに固定する際、その上下方向の高さによつて矢板埋入の深さ、したがつて地表面に突出する矢板の高さが規定されるので、この高さを調節するために必要になるものと解される。イ号物件の構成<1>´において、シリンダ(16)が上下自在となることも、同様の技術的意味を持つものと認めることができる。被告らが本件発明の構成要件<1>とイ号物件の構成<1>´との作用効果・機能の相違として主張するところは、前示甲第一号証によると、本件発明の明細書に記載のない事項にかかり、また右主張を肯認するに足りる証拠もないのであるから、もとより採用の限りでない。

2 イ号物件の構成<2>´を本件発明の構成要件<2>に対比すると、イ号物件の前判示構造・使用方法によると、イ号物件のアウタードラム(20)は、本件発明の環状支持体に該当するから、構成<2>´が構成要件<2>を充足することは明らかである。

3 イ号物件の構成<3>´が本件発明の構成要件<3>を充足するかについて考えるに、イ号物件の前判示構造・使用方法によると、インナードラム(31)が本件発明の構成要件<3>の回動部材に該当すると認められる。そして、前判示の本件発明の課題、目的、作用効果、前掲甲第一号証によれば、本件発明の目的とするところは、「クレーン車に対し、埋設せんとする矢板を方向的に所望する状態で挟持できるようにし、矢板の埋設毎にクレーン車を大きく方向転換させる必要を無くし、矢板の埋設が能率よく僅かなトルクをもつて行える装置を提供せんとするものであ」り(本件公報1欄三三行目ないし2欄一行目)、右課題を解決するために、矢板を挟持固定する部分を回動自在としたもの、すなわち、構成要件<3>にあるとおり、環状支持体にその外周を支持されて平面的な回動が自由となる回動部材を採用したものであり、右構成要件を採用したことにともない、「クレーン車に対して矢板を全方向自由の状態で挟持して埋設することができ、従つて矢板の埋設位置がクレーン車によつて限定される如き不都合の発生はなく、所望する位置に埋設できると共に、矢板の連接状埋設時にもクレーン車を大きく旋回させたり移動させる必要はなく、作業が簡単且能率よく行える。」(本件公報4欄七行目ないし一三行目)という作用効果(原告主張の第一の作用効果)を奏するものであると認めることができる。

もつとも、構成要件<3>において、回動部材は、環状支持体内に組込まれるものとされているが、右構成を採ることの技術的意味は、本件発明の明細書からは必ずしも明確でない。ただ、同明細書(甲第一号証参照)では、本件発明装置の一実施例として、環状支持体内に回動部材全体が入り込んだ構造が添付図面に示されており、「前記支持体11は断面内向きコ字状の如き構造を有し、その内部には環状となる回動部材12を可回動に組込む。」(本件公報2欄一九行目ないし二一行目)と説明され、更に、右実施例の作動・操作を説明する箇所で、矢板を挿入・挟持して回動部材を回し、矢板を所望の方向に沿うよう準備段階でセツトする際、「回動部材12はオースオーガ7と同軸状となる支持体11内を回動するため、回動は何ら支障なく行える。」(「オースオーガ」は「アースオーガ」の誤記と認める)(本件公報3欄一三行目ないし一五行目)と記載されているのみである。そして、これらの記載から、本件発明の構成要件<3>について、回動部材全体が環状支持体内に組込まれるものと解釈することは、これらの記載が実施例又は実施例についての説明であることから妥当でなく、この点に関する被告らの主張は採用しえない。

ところで、本件発明は、回動部材の外周を環状支持体に支持させてその平面的回動を自由にしたのであるから、回動部材は、環状支持体の平面方向の内側に設けられていれば必要かつ十分であり、環状支持体も平面体で足りるのである。そして、回動部材の内部には案内筒や押圧部材が設けられる(構成要件<4>)のであるから、回動部材は、平面体ではなく、一定の厚みを持つたものでなければならない。そうすると、回動部材が環状支持体の下方に突出する構造も、本件発明における前判示の課題を解決し、作用効果を達成するに十分なものである。

しかるに、特許請求の範囲において、右構造を、「環状支持体内に、……回動部材を組込み、」と記載したのであるから、この記載に実施例をもあわせ考えると、環状支持体は、平面体でなく上下方向に厚みを持つたもの、すなわち、適宜の断面形状の箱状をなすものであり、回動部材は、その箱状の環状支持体の内部に、その回動が支障なく行える態様で設けられるものと解される。その構造は、実施例のように回動部材全体が環状支持体内におさまるものもあるが、もちろんこれに限る理由はなく、回動部材の一部が環状支持体の外へはみ出る態様のものであつても、回動部材の他の部分が箱状の環状支持体の内部におさまり(含まれ)、その回動が支障なく行える態様であれば、右構造に当るものというべく、これを否定すべき証拠はない。構成要件<3>の、回動部材が環状支持体内に組込まれるということは、右の趣旨に解される。

そうすると、本件発明の構成要件<3>における環状支持体とは、回動部材が平面的な回動を自由にかつ支障なく行えることを保障する適宜の断面形状の箱状の支持体を意味するということができ、したがつて、回動部材とは、右のような機能を発揮しうるように、その外周を環状支持体に支持され、その全部又は一部が右箱状の環状支持体内に組込まれる(設けられる)ものと解するのが相当である。

構成要件<3>を右のように解すべきものとした場合に、イ号物件がこれを充足するか否かについてみるに、イ号物件の構成<3>´において、回動部材に該当するインナードラム(31)は、上端外周のフランジ(33)が、環状支持体に該当する.断面ほぼ台形状をなす箱状のアウタードラム(20)上に載ることによつて支持され、平面的な回動が自由となつており、もう一つのフランジ(34)から上の部分(上半分)が右箱状のアウタードラム(20)内にあり、フランジ(34)から下の部分(下半分)がアウタードラム(20)の下方に突出し、回動部材の回動は支障なく行われるものである。

被告らは、インナードラム(31)がアウタードラム(20)の外側で回動するので、他の物に接触することもありうると主張するが、イ号物件の前記使用方法によれば、インナードラム(31)の回動が必要となるのは矢板圧入前の準備段階であり、その段階でインナードラム(31)の下半分がアウタードラム(20)から突出している(その突出長さは被告らの主張によつても約四〇センチメートルである)ことによつて、インナードラム(31)の回動に支障が生じるとは考えられない。イ号物件の右構成は、これを前判示の内容をもつ構成要件<3>と対比すれば、これを充足するものと認めることができる。

そして、前認定・説示したところによれば、イ号物件は、右構成によつて、本件発明が構成要件<3>を採用したことにより得たのと同一の作用効果を達成していると認めることができる。

被告らの主張は、前判示したところからも明らかなように、本件発明の技術思想を考慮することなく、ただ実施例に基づいて構成要件<3>を解釈しようとするものであつて、実施例に偏した解釈態度というほかはなく、採用の限りでない。

その他、被告らの主張する本件発明の作用効果は、本件発明の明細書に記載のない事項にかかり、これを肯認させるに足りる証拠もない。また、イ号物件には本件発明にない特有の作用効果があるとの主張にしても、仮にこれが認められるとしても、構成<3>´を採用することによつて、イ号物件が本件発明の構成要件<3>に基づくのと同一の前記作用効果を達成している以上、構成<3>´が構成要件<3>を充足することを否定する根拠とはなりえない。

右のとおりであつて、イ号物件の構成<3>は、本件発明の構成要件<3>を充足する。

4 イ号物件の構成<4>´<イ>´において、案内筒(37)は、インナードラム(31)内で上方に多少突出し下方に僅かに突出して一体化されているところ、本件発明において、案内筒を構成要件<4>(イ)のように配備したことの技術的意味について、明細書には特段の説明がない。そして、イ号物件と本件発明の各案内筒の配備態様を対比検討すると、本件発明における上方への突出長さに特段の限定を付すべき事由はないから、イ号物件の案内筒(37)の上方への突出態様も本件発明の上向き突出状の配備に該当するというほかはない。また、本件発明の案内筒の下端を回動部材の中央に固定する態様も、厳密に下端においてのみ固定するものに限られると解すべき事由もないから、イ号物件の案内筒(37)が下方に僅かに突出してインナードラム(31)に一体化されている以上、右のように下方へ僅かに突出していることは単なる設計上の微差にすぎないと解される。

被告らは、本件発明が上向き突出状配備の案内筒を採用したことによる作用効果について言及し、イ号物件は、右作用効果を他の構成によつて達成していると主張するが、本件発明の明細書に被告らのいう作用効果の記載がなく、ほかにこれを認めるに足る証拠もないので、右主張を採用することはできない。

右のとおりとすると、イ号物件の構成<4>´(イ)´は、本件発明の構成要件<4>(イ)を充足するというべきである。

5 イ号物件の構成<4>´(ロ)´・(ハ)´、<5>´が本件発明の構成要件<4>(ロ)・(ハ)、<5>をそれぞれ充足することは、その対比によつて明らかである。

そして、本件発明が原告ら主張の第一の作用効果を奏することは前判示のとおりであり、前記争いのない事実及び甲第一号証によると、原告ら主張の第二の作用効果を有することが認められる(なお、原告ら主張の第三の作用効果は、昭和五四年一月二五日付手続補正書記載のものであるとされているが、右補正は、適法な補正として採用されたか否か明らかでないから、現段階では本件発明の作用効果とするのは相当でない)ところ、前認定・説示によると、イ号物件は、前記構成を採ることにより、右と同一の作用効果を達成しているものと認められる。

そうすると、イ号物件は、本件発明の技術的範囲に属するということができる。

三 以上のとおりであるから、被告ニツポーサービス株式会社は、イ号物件を業として製造・販売し、販売のために展示したことにより、被告内外商工株式会社は、イ号物件を業として販売し、販売のために展示したことにより、被告土保産業株式会社及び被告協和土木興業株式会社は、イ号物件を業として使用したことにより、原告らの本件仮保護の権利を侵害したということができる。そして、イ号物件が本件発明の技術的範囲に属することを、被告らにおいて争つていることは、弁論の全趣旨に照らし明らかであり、そうだとすると、被告らにおいて前同様の各侵害行為をするおそれがあるものと認められるから、原告は、被告らに対して、右各侵害行為の差止めを求めることができるというべきである。

よつて、本訴請求はすべて理由があるので、これを認容することとする。

〔編註その一〕 本件における発明の構成要件は左のとおりである。

<1> アースオーガを取付けたリーダにジヤツキを上下自在となるように装設する。

<2> 前記ジヤツキの下向きとなるピストン杆にアースオーガへ同軸芯状で外嵌する環状の支持体を取付ける。

<3> この環状支持体内に、中央をアースオーガが貫通し外周が該支持体で支持されて平面的な回動が自由となる回動部材を組込む。

<4> 前記回動部材に、

(イ) 下端を該回動部材の中央に固定してアースオーガに外嵌する上向き突出状の配備となる案内筒と、

(ロ) 該案内筒よりも外側位置に矢板が貫通するよう開設した開孔と、

(ハ) 該開孔を貫通する矢板を挟持して回動部材と固定化するよう取付けた押圧部材を設ける。

<5> 以上を特徴とする矢板の埋設装置。

〔編註その二〕 本件に関する目録および図面は左のとおりである。

被告物件目録

一 図面の簡単な説明

第1図は、クローラ式クレーン車に装着した状態の側面図、第2図は、その一部拡大側面図、第3図は、第2図の正面図、第4図は、第2図の4―4線の拡大横断面図、第5図は、第4図の5―5線の縦断面図、第6図は、第5図の6―6線の横断面図、第7図は、第6図の一部拡大図、第8図は、装置本体の分解斜視図、第9図は、矢板の埋設状態を示す説明図である。

二 構成の説明

次の構成を有する矢板の埋設装置である。

<1>´ リーダ(10)の前面にオーガモータ(11)が装着され、モータ(11)は、吊りワイヤ(12)によつて昇降自在に支持されており、モータ(11)の出力軸にアンテナジヨイント(13)を介してアースオーガ(14)が連結されている。リーダ(10)の中程両側には反力支持アーム(15)が固定され、アーム(15)にそれぞれシリンダ(16)がピン(17)によつて取付けられている。アーム(15)は、リーダ(10)に固定した高さ調節板(50)にボルト(51)によつて取付けられ、調節板(50)には上下水平方向に多段的に取付穴(52)が設けられている。リーダ(10)は、クローラ式クレーン車(18)に支持される。

<2>´ シリンダ(16)から下向きに突出したピストン杆(19)の先端に環状のアウタードラム(20)がピン(21)によつて取付けられている。アウタードラム(20)は、アースオーガ(14)に対し同軸芯状に外嵌されている。シリンダ(16)は、ガイドポール(22)の支持体(23)と一体に取付けられている。ガイドポール(22)は、四本設けられ、その上端は、支持体(23)に固定され、下端は、装置下端に設けられた反力台(24)に固定されている。アウタードラム(20)は、その張出した部分(25)に設けた筒(26)にガイドポール(22)を自由に挿通することにより、シリンダ(16)の作用による上下動がガイドされている。更に、アウタードラム(20)のリーダ(10)側の側面には、ブラケツト(27)が固定され、ブラケツト(27)によりガイド部材(28)が取付けられている。ガイド部材(28)は、両側上下方向に(29)挟持部材を有し、挟持部材(29)は、リーダ(10)の前面に設けたガイドレール(30)を挟持し、アウタードラム(20)の上下動をガイドしている。

<3>´ インナードラム(31)は、中央をアースオーガ(14)が貫通し、その上端外周にボルト(32)によつてフランジ(33)が一体に取付けられ、フランジ(33)がアウタードラム(20)上に載り、平面的な回動が自由であるように支持されている。インナードラム(31)のフランジ(33)の下方にはもう一つのフランジ(34)が設けられ、アウタードラム(20)は、両フランジ(33)・(34)間にそれぞれボール(35)を介在して嵌められている。そして、インナードラム(31)は、フランジ(34)が設けられた位置から上(上半分)がアウタードラム(20)内にあり、同位置から下(下半分)がアウタードラム(20)の下方に突出している。なお、両ドラム(20)・(31)は、通常の状態ではピン(36)によつて結合されている。

<4>´(イ)´ インナードラム(31)の中央には、アースオーガ(14)に外嵌し、上方に多少突出状態になつた案内筒(37)が設けられている。案内筒(37)は、上方への突出部分及び下方に僅かに突出した部分を除き、そのほぼ大部分がインナードラム(31)内に存在し、フランジによつてインナードラム(31)に一体化している。

(ロ)´ 案内筒(37)の外側には矢板(A)が貫通する開孔(33)が設けられている。

(ハ)´ インナードラム(31)の下部において開孔(38)に水平方向に進出。後退する押圧部材(39)を備えたチヤツキング装置(40)が組込まれており、押圧部材(39)により、矢板(A)を案内筒(37)外側面に押圧し、その外側面との間で挟持固定する。インナードラム(31)は、上半分がアウタードラム(20)内にあり、下半分は外部に露出している。案内筒(37)の外側面には上下方向に平坦な矢板受台(41)が設けられている。

チヤツキング装置(40)は、インナードラム(31)の下部において、上下二台組込まれている。チヤツキング装置(40)は、第7図に示すように、油圧シリンダ(42)とそのピストン(43)及びシリンダ(42)の外周に組込まれた環状の部材(44)とからなり、ピストン(43)の先端には凹凸面を形成した押圧板(45)が設けられ、ピストン(43)及び押圧板(45)とにより押圧部材(39)を構成している。環状の部材(44)は、先端に内向きフランジ(46)、後端に外向きフランジ(47)を有し、内向きフランジ(46) は、押圧板(45)に係合している。外向きフランジ(47)とインナードラム(31)の部分間には圧縮型ばね(48)が介在され、押圧部材(39)がシリンダ(42)の作用で前進すると、ばね(48)が圧縮され、シリンダ(40)の作動を停止させると、ばね(48)の復元により押圧部材(39)を後退させる。

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